厚生労働省は、住宅改修や福祉用具に関する4つの通知をまとめて発出しました。 給付適正化の手引き、多職種連携、福祉用具専門相談員のOJT、新たな福祉用具の介護保険適用提案など、事業所の実務や人材育成に役立つ資料が公開されています。
はじめに
2026年7月8日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1521」を発出しました。
今回の通知は、
住宅改修や福祉用具に関する4つの調査研究事業の成果をまとめ、自治体や介護事業所などに活用を呼びかけるものです。
新たな制度改正ではありませんが、
住宅改修や福祉用具の給付適正化
福祉用具専門相談員の多職種連携
新人職員のOJT
新たな福祉用具の介護保険適用
など、今後の実務やサービスの質向上につながる資料が公開されています。
今回公開された4つの資料とは?
今回のVol.1521では、大きく4つのテーマについて案内されています。
1.住宅改修・福祉用具の点検手引き
住宅改修や福祉用具の給付を適正に行うための手引きが改訂されました。
2.福祉用具貸与事業所の多職種連携
在宅高齢者の支援や施設退所時の支援における、福祉用具専門相談員の役割が整理されています。
3.福祉用具専門相談員のOJT
新人職員の教育体制づくりや、現場でのOJTに活用できるガイドラインとチェックリストが作成されました。
4.新たな福祉用具を介護保険の対象として提案する方法
新しい福祉用具を介護保険の対象として提案する際の手引きが改訂され、新たにチェックシートも作成されました。

住宅改修・福祉用具の点検手引きを改訂
今回、
「介護給付適正化における住宅改修等の点検および福祉用具購入・貸与調査の取組促進に向けた手引き」
の第二版が公開されました。
手引きでは、
住宅改修の点検
福祉用具購入の調査
福祉用具貸与の調査
専門職の活用
多職種連携
給付適正化に向けた取組
都道府県による支援
などがまとめられています。
特に今回の改訂では、
住宅改修の申請を確認する際のポイントや、給付判断に迷う事例と判断例
も整理されています。
主に自治体や保険者向けの資料ですが、住宅改修事業者や福祉用具事業者にとっても、
「どのような点が確認されるのか」
を知る参考になります。
福祉用具専門相談員の役割を多職種連携の視点から整理
今回の通知では、
福祉用具専門相談員が他の専門職とどのように連携するかについても調査結果がまとめられています。
調査では、
地域で暮らす高齢者への支援
要支援認定を受ける前の高齢者も含め、
福祉用具専門相談員
地域住民
地域の自主グループ
通いの場
などが連携し、介護予防につなげる取組が検討されました。
施設から在宅へ戻る際の支援
介護老人保健施設からの退所時に、
福祉用具専門相談員がケアチームの一員として、多職種と連携しながら在宅生活への移行を支える方法も整理されています。
福祉用具を単に「貸す」「販売する」だけではなく、
利用者の生活全体を見ながら、多職種と連携して支援する役割
が今後さらに重要になりそうです。
福祉用具専門相談員のOJTマニュアルを公開
福祉用具貸与事業所や特定福祉用具販売事業所向けには、
「福祉用具専門相談員の資質向上に向けた指導ガイドライン・OJTマニュアル」
が公開されました。
主な内容は、
新人職員の教育体制づくり
指導者の育成
外部研修の活用
継続的な学習機会の提供
サービス提供場面ごとの指導方法
住宅改修に関する指導方法
などです。
さらに、
「OJTによる指導チェックリスト」
も作成されています。
このチェックリストは、入職後から1年程度の新人職員を対象として、
3か月ごと
に業務の習熟度や進捗を確認できるようになっています。
新人職員と指導者が、
現在どこまでできているか
次に何を身につけるか
どの部分に追加の学習が必要か
を定期的に確認する仕組みです。
新たな福祉用具の介護保険適用提案も分かりやすく
新しい福祉用具を介護保険の対象として提案するための手引きも、
第3版
に改訂されました。
介護保険の対象となる新たな福祉用具は、提案すればすぐに認められるわけではありません。
主に、
有効性
安全性
保険適用の合理性
という視点から検討されます。
今回の手引きでは、
介護保険における福祉用具の仕組み
新たな種目・種類の提案方法
評価・検討の視点
必要なデータ
データ収集方法
などが整理されています。
さらに、
「新たな福祉用具の提案のためのチェックシート」
も新たに作成されました。
介護機器や福祉用具を開発する企業にとっては、自社製品を将来的に介護保険の対象として提案できる可能性を検討する際の参考資料になります。
事業所への影響は?
今回の通知は、新たな制度改正や義務化を行うものではありません。
そのため、すべての介護事業所がすぐに何か対応しなければならないわけではありません。
ただし、
福祉用具貸与・販売事業所
新人教育やOJT体制の見直し
福祉用具専門相談員の多職種連携
サービス提供後の継続的な支援
について、今回の資料を参考にできます。
住宅改修・福祉用具に関わる事業者
自治体や保険者がどのような視点で給付の適正性を確認するのかを知る資料として活用できます。
ケアマネジャーや多職種
福祉用具専門相談員を単なる福祉用具の手配担当ではなく、
在宅生活を支えるチームの一員
としてどのように連携するかを考える参考になります。
福祉用具メーカー・開発企業
新しい製品を介護保険制度の対象として提案する際の考え方や、必要なデータを確認できます。
CARELAYカタログ編集部コメント
今回のVol.1521は、ひとつの制度変更を知らせるものではなく、住宅改修と福祉用具を取り巻く今後の方向性が見える内容です。
特に印象的なのは、
福祉用具専門相談員に求められる役割が、
「福祉用具を選び、届ける専門職」
から、
「利用者の生活を支えるために、多職種と連携しながら継続的に関わる専門職」
へと広がっている点です。
また、新人教育についても個人任せにするのではなく、OJTの進捗を定期的に確認する仕組みが示されました。
すべてをそのまま導入する必要はありませんが、福祉用具事業所では、自社の教育体制や多職種との連携方法を見直すきっかけとして活用できそうです。
参考資料
介護保険最新情報 Vol.1521
https://www.mhlw.go.jp/content/001719971.pdf
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