厚生労働省は、医療計画と介護保険事業計画における整備目標やサービス量の見込みについて、整合性を確保するための通知を一部改正しました。 2040年を見据え、在宅医療、介護施設、高齢者施設、医療機関の連携体制を地域ごとに整理していく内容です。
はじめに
2026年7月14日、厚生労働省は「介護保険最新情報 Vol.1525」を発出しました。
今回の通知は、
「医療計画及び介護保険事業(支援)計画における整備目標及びサービスの量の見込みに係る整合性の確保について」
の一部改正を知らせるものです。
少し難しい内容ですが、簡単に言うと、
地域の医療提供体制と介護サービスの整備計画を、今まで以上に連動させて考える必要がある
という内容です。
介護事業所がすぐに何か手続きを行う通知ではありませんが、今後の地域包括ケア、在宅医療、施設整備、介護サービス量の見込みに関わる重要な方向性が示されています。
今回の通知で何が変わるの?
今回の改正では、これまでの通知に対して、
地域医療構想
の考え方がより明確に組み込まれました。
これにより、
地域医療構想
医療計画
介護保険事業計画
介護保険事業支援計画
を別々に考えるのではなく、地域ごとの医療・介護ニーズを踏まえて、整合性を持って検討することが求められています。
特に、2040年頃に向けて、
医療と介護の両方を必要とする高齢者の増加
認知症高齢者の増加
生産年齢人口の減少
医療従事者の確保難
高齢者救急や在宅医療ニーズの増加
が見込まれることから、医療と介護の受け皿を地域全体でどう確保していくかが重要になります。

2040年を見据えた計画へ
今回の通知では、これまで意識されていた2025年だけでなく、
2040年頃を見据えた医療・介護体制の構築
が強調されています。
高齢者人口の増加だけでなく、支える側の人材不足も進む中で、
病床機能の分化・連携
在宅医療の提供体制
介護施設の役割
居宅サービスの受け皿
高齢者施設と医療機関の連携
医療・介護人材の確保
を一体的に考える必要があります。
単に「介護サービスを増やす」「在宅医療を増やす」という話ではなく、限られた人材や地域資源をどう組み合わせるかが問われています。
在宅医療と介護施設の役割がより重要に
今回の通知では、在宅医療の需要が今後増加していく一方で、地域によっては在宅医療の提供が難しくなることも示されています。
特に、人口密度が低い地域では、医師や医療従事者が利用者宅へ移動して対応する在宅医療の負担が大きくなります。
そのため、
在宅医療を担う医療機関
訪問看護ステーション
歯科医療機関
薬局
介護サービス事業所
高齢者施設
などが連携し、地域全体で支える体制づくりが重要になります。
また、高齢者救急の増加に伴い、退院後の受け皿として介護保険施設や居宅サービスを適切に活用することも求められています。
高齢者施設と医療機関の連携も重要に
今回の改正では、高齢者施設に入所している利用者の状態が悪化した場合に、必要な医療へ円滑につなげる体制の重要性も示されています。
具体的には、
協力医療機関の確保
平時からの情報共有
受診や搬送のルール整理
状態悪化時の介入体制
必要時の入院調整
などが重要になります。
これは、直近の介護報酬改定でも重視されている協力医療機関との連携強化ともつながる内容です。
施設系サービスや居住系サービスでは、今後も医療機関との連携体制をどのように整えるかが重要なテーマになりそうです。
第10期介護保険事業計画にも関係
今回の通知では、第10期介護保険事業(支援)計画におけるサービス量の見込みについても触れられています。
介護保険事業計画では、これまでの利用実績や人口動態だけでなく、
地域の課題
今後の医療需要
在宅医療の整備目標
介護施設や居宅サービスの必要量
2040年に向けた中長期的な見込み
を踏まえて、サービス量を見込む必要があります。
つまり、自治体が今後どのような介護サービスをどれくらい必要と見込むのかは、医療計画や地域医療構想とも深く関係していくことになります。
事業所への影響は?
今回の通知は、主に都道府県や市区町村など、行政の計画策定に関わる内容です。
そのため、介護事業所がすぐに申請や届出を行う必要はありません。
ただし、今後の地域の介護サービス整備や医療・介護連携の方向性に関係するため、次のような事業所では特に意識しておきたい内容です。
施設系サービス
介護老人保健施設、介護医療院、特別養護老人ホームなどでは、退院後の受け皿や高齢者救急後の受け入れ、医療機関との連携がさらに重要になります。
居住系サービス
特定施設やグループホームなどでは、入居者の状態悪化時に医療へつなぐ体制や、協力医療機関との情報共有が重要になります。
在宅系サービス
訪問介護、訪問看護、通所介護、居宅介護支援などでは、在宅医療の整備状況や地域の医療機関との連携が、今後のサービス提供体制に影響する可能性があります。
ケアマネジャー・相談支援職
医療と介護の複合ニーズを抱える利用者が増える中で、医療機関、訪問看護、施設、居宅サービスをつなぐ役割がより重要になります。
CARELAYカタログ編集部コメント
今回のVol.1525は、現場で日々の算定や請求に直接関わる通知ではありません。
しかし、今後の介護業界全体の方向性を見るうえでは、とても重要な内容です。
これからの地域では、医療と介護を別々に考えるのではなく、
「限られた人材と資源の中で、地域全体としてどう支えるか」
が大きなテーマになります。
特に、在宅医療の需要増加、高齢者救急、退院後の受け皿、高齢者施設の医療連携は、介護事業所にも直接関わる課題です。
すぐに対応が必要な通知ではありませんが、自事業所が地域の中でどのような役割を担うのかを考えるきっかけとして、確認しておきたい内容です。
参考資料
介護保険最新情報 Vol.1525
https://www.mhlw.go.jp/content/001722971.pdf
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